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講義名 通年/組織変革演習(重田・髙橋)24秋開講
基準単位数 4
科目区分 演習(発展)
必修・選択 必修
配当年次 2年次
学修期間 学修期間2学期

担当教員
氏名
◎ 重田 孝夫
髙橋 正巳

オフィスアワー eラーニングサイトおよびメールでの質疑応答を受け付けています。
面会・電話での相談を希望する場合は、事前に希望日時をご連絡ください。
授業の概要 変化のスピードが加速しています。環境が変化すれば、戦略の変更が求められ、戦略が変われば、組織もそれに対応して変化しなければなりません。そもそも組織が現状で問題を抱えているのであれば、問題を解決する必要があるでしょう。また、企業の成長につれて、組織やマネジメントのあり方を見直すことも欠かせません。

変革が求められる対象は様々です。
・イノベーションを阻害する障害を取り除き、促進する仕組みを取り入れる
・より多様な人材が生き生きと活躍できる働き方や職場風土に刷新する
・結果主義に陥った成果主義を見直して個人の主体性とチームワークの向上を図る
・内発的動機づけを高めるリーダーシップを普及させつつ後継者育成計画を立案・展開する
といった課題に直面している現場や会社は少なくありません。

組織変革を成し遂げるには、変革テーマ、組織、人員に応じて、効果的なアプローチを選び、組み合わせ、応用することが重要です。講座の前半では、組織変革に関わる理論やアプローチを学び、適切な手法の適用を考察します。

変革のテーマは、みなさんが必要と考える、みなさんが所属する組織での変革を、みなさん自身が現状を踏まえて選びます。そして、授業では、組織変革に関する理論やアプローチを学び、そのアウトプットとして、変革プランを立案。中間発表会で発表します。講義の後半には、現場で計画に着手してもらいます。実行してみて、それが上手くいったかどうかをチェックし、より良い対応を考え、対策をとることで、事上磨錬を図ります。

最終発表では、それまでに取り組んだ変革の成果を確認できるようにします。

本講座は、理論やアプローチを学び、現場でフィールド・ワークを行う演習科目です。
学修目標 組織変革のテーマは、市場確保のための破壊的イノベーターへの対応だったり、業界横並びからの脱却のためのブルーオーシャン戦略の展開だったり、無力感がつきまとう現行制度の見直しのための変革プログラムの導入だったりと様々になりますが、共通する学習目標は次の通りです。

組織の課題に取り組み、変革によって成果を上げるために効果的な組織開発とチェンジ・リーダーシップに関する理論とアプローチを授業や参考書を通して理解し、それをベースに:

1)変革テーマを特定する
自分の属する組織での実践を前提とした的確な変革テーマを選定します。
組織変革は、一人ではなく、組織の人たちを巻き込んで行うことになります。自分が関与して、組織にインパクトのある大きな成果をもたらすことのできるデーマを選びましょう。5年後、10年後に、「あの時の変革によって、今日の礎が築かれた」と言ってもらえるようなものにしたいものです。
みなさんの履歴書にみなさん自身の実績として記載するのに値するものが望まれます。

2)取り組み計画を作成する
テーマに効果的に取り組むためには、どんなアプローチが有効なのかを学び、考え、必要によって複数のアプローチを組み合わせて、変革を実現するための計画案、いわゆる素案を作成します。計画案は、半期が終了した時点での中間発表会でプレゼンテーションしていただきます。

3)実行計画を練り上げる
1回学んだだけで、よい計画案が作成できるものではありません。中間発表のフィードバックや他の受講生との討議などを得て、組織変革への理解を深め、計画案をブラッシュアップします。
組織変革の理論やアプローチを学び、ひとまず計画案を作成しても、理論から外れていたり、実際に応用する際に対応が困難なことが予想されたりすることが少なくありません。他の人の視点からのチェックを受けて、よりよい計画を練り上げましょう。

所属組織での計画実行に向けて、必要なデータ収集や事前調査、変革チームの設立等の準備を行います。現状をデータ等のファクトできちんと捉えることが欠かせません。エビデンスとなるファクトは、変革のプログラムを立案するベースとなるだけでなく、変革への認識を共有するのに役立ちます。
変革を推進するチームを立ち上げるのであれば、それもどうするとよいかを考え、実際に立ち上げましょう。実行計画を策定する際には、チーム・メンバーの意見を取り入れることが重要です。

4)変革プランの中間成果を発表する
変革プランを実行に移し、最終発表会までに生み出した中間成果や発揮した優れた行動を最終報告会で発表する。
変革プランの構成項目は、変革テーマとアプローチを考慮して、事前に講師と協議して決定しますが、目標は具体的で測定可能なものとし、効果測定に活用します。
実行計画も詳細な項目に落とし込んで、マイルストーンはガントチャート等で示し、進捗チェックできるものとします。

プレゼンテーション資料が成果物になります。

5)変革プランを現場で展開する
現場で計画に着手し、変革プランの目標達成のために、優れた行動を発揮して、今後のキャリアに必要なコンピテンシーを伸ばします。

なお、授業は最終発表までとなりますが、みなさんの目的は変革プランに沿って、その後も変革に取り組み、成果を上げることです。
授業計画 この演習科目は、期間1年間(2学期)で4単位の授業です。
最初の半年をStage 1(前期)、残りの半年をStage 2(後期)とし、秋学期から受講を開始した場合、秋学期がStage 1、翌年の春学期がStage 2。春学期から開始の場合には、春学期がStage 1、続く秋学期がStage 2となります。
中間発表会でのプレゼンテーションまでがStage 1で、その後、最終報告会までがStage 2です。

<Stage 1>
Stage 1は、通常のビデオによる授業と対面授業が混在しています。第5章と第10章、第15章が対面授業です。日程は、第2章終了までに、みなさんと調整のうえ連絡します。

第1章
・授業の概要と組織変革の概説

第2章
・組織開発とは:組織開発とは何かを理解し、その代表的なアプローチを考察する

第3章
・学習する組織:システム思考を理解し、組織的な変革を図る手法を学ぶ

第4章
・組織課題の整理:所属する組織の諸課題を整理、分析する

第5章(対面授業)
・変革テーマ案の発表、討議、検討

第6章
・変革の障壁:変革を推進する際に直面しやすい障壁を整理し、その対応方法を考える

第7章
・ダイナミック・ケイパビリティ:変化に対応する組織の自己革新力を高める

第8章
・ブルーオーシャン戦略にみる変革:価値、利益、人材についての整合性の確保を学ぶ

第9章
・プレゼンテーション:企画案やプロジェクトの発表をパワーポイントを使って行う留意点を学ぶ

第10章(対面授業)
・変革プランに応じたアプローチ案の発表、討議、検討
・プレゼンテーション:企画案やプロジェクトの発表をパワーポイントを使って行う留意点を学ぶ

第11章
・目標設定:目的を受けた具体的な目標の設定方法を学ぶ

第12章
・実行計画:実行性と実効性の高い計画の作成方法について理解する

第13章・第14章(自習、授業なし)
・取組計画案の作成

第15章(対面授業)
・取組計画案のチェック

中間発表会
・日程は、事務局からの連絡で確認すること。

中間発表会を除けば、他の授業と同じ形式です。ビデオの授業を視聴して、疑問点や不明な点、質問があれば、メール・グループ上もしくはメールで討議します。

このステージでの成果物は、自ら関与できる組織課題を整理したリストと中間発表会でのプレゼンテーション資料の2つです。

まず、第5章までで、授業を視聴したり、参考書を読んで、きちんと組織課題を整理、把握したうえで、的確な変革テーマを決定しましょう。日常の課題認識だけでなく、体系的に課題を整理、分析する力を高めることが問われます。

次に、第6章から第9章までで、変革マネジメントや組織開発のアプローチ方法について学び、変革テーマに合った取り組みのアプローチ方法を決定します。第10章の対面授業で、選択したアプローチ方法が妥当かどうかを討議します。

プレゼンテーションの講義は、中間報告会でのプレゼンテーションを上手く行うのに役立つポイントを学ぶための授業です。パワーポイントを利用したスライドの作成や発表の仕方について留意点を解説します。

続いて、第11章から第15章で、組織変革の取組計画案を作成します。
目標は、具体的で測定可能な目標として、組織変革が上手く遂行されたかどうかの効果測定にも活用することが重要です。結果目標だけでなく、取り組みの優先課題も特定します。

実行計画は、マイルストーンを設定し、さらに進捗チェックができるものにすることが欠かせません。留意点を学び、取組計画に反映してください。

組織変革の取組計画案をみなさんが作成し、中間発表に臨む訳ですが、第15章に対面授業で事前に内容をチェックします。必要に応じて、取組計画案を見直すこと。

中間発表会では、自らの組織変革プランを発表します。
それに向けた3つの対面授業への参加が不可欠です。組織課題を整理して的確な組織変革テーマを選び、適切なアプローチ案を決定し、目標と優先課題を特定、実行計画を明らかにした取組計画案をプレゼンテーション資料にまとめて、発表していただきます。これらのマイルストーンは、期日の延長はできません。しっかりとスケジュール管理してください。

<Stage 2>
Stage 2は、実行計画に添った実践とレビュー、それに最終報告会で構成されます。授業ビデオはありません。実際にデータ収集、分析を行ったり、事前調査を実施したり、変革を推進するチームを立ち上げたりというフィールド・ワークとそのレビューが中心です。その結果を最終報告会で発表していただき、その内容が審査されます。

レビューは、個別に、Webミーティングやメールで、計画に応じて、月1回のペースで行います。
私の演習を履修するStage 1の受講生との対面授業とスケジュールが合えば、対面でのレビューを実施します。その場合は、対面授業に参加して、Stage 1の受講生へのアドバイスをいただけると幸いです。

最終報告会の日程は、事務局からの連絡を確認してください。

一般的な講義の授業とは異なり、期末テストあるいは期末レポートでよい点を取れば、単位が取れるものではありません。実行計画に添って、きちんと実践し、講師とのレビューを行う必要があります。
受講上の留意点 中間発表が済んだあと、翌学期の開始を待たずに、変革プランに着手することになります。
成績評価基準 ・中間発表のプレゼンテーション:40%
・現場での着手・実践のレビュー:20%
・最終報告:40%

中間発表のプレゼンテーションの出来栄えは、テーマに合ったアプローチを受けて、取組計画がしっかりした構成と内容になっているか、プレゼンテーション資料はきちんとまとめられたか、それを利用したプレゼンテーションは上手く行われたか等で評価します。

現場での着手・実践のレビューの評価は、レビューを受けていただくことが不可欠です。レビューで、実行計画に添って準備作業が進められたか、不測の事態に的確に対応できたかを確認し、評価します。レビューでは、とるべき対策についても話し合います。

よい計画ができ、それに沿ってしっかりと準備作業に着手できれば、最終報告の内容の出来もよくなるはずです。

最終報告会での評価項目は、中間発表後に講師と協議のうえ、決定します。最終報告会での発表は、評価項目に添って審査されます。作成いただくプレゼンテーション資料は、現場での実践を踏まえた成果物となります。

単に組織変革の提案書を作成するのではなく、現場の実態に応じたプランを作成し、実行しますので、最終報告はその段階までのいわゆるフィールド・ワークの報告です。授業の成績評価もペーパーとしての提案書の出来だけでなく、実行計画に添ってきちんと取組みを展開できたが評価されます。

期末に組織変革プランを作成し、発表するだけでは、単位は取れません!
必読書籍 本講座には指定の教科書はありません。Stage 1の講義では、それぞれの参考書や論文を紹介しています。みなさんが選ぶテーマやアプローチに関連が深い書籍は読まれるとよいでしょう。
参考書籍 講座全体としての参考書は、次の通り。

・John P Kotter著『リーダーシップ論』第2版 ダイヤモンド社 2012年
ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載されたJohn P Kotterハーバード・ビジネス・スクール名誉教授のチェンジ・マネジメントやリーダーシップに関する論文を収録し、新たなコンテンツを加えた改定新訳版。
・ジョン・P・コッター、バネッサ・アクタル著『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』ダイヤモンド社 2022年
・デビッド J ティース 著『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』ダイヤモンド社2013年
変化に対応して、持続可能な競争優位を保持、強化するために必要な「ダイナミック・ケイパビリティ」をどう獲得、発展するかについて解説した本。
・ピーター M センゲ著『学習する組織―システム思考で未来を創造する』英治出版 2011年
変化への対応に不可欠な組織の学習能力をどう高めるかを解説したベストセラー。不確実性が高く、変化の激しい時代には、多様な関係者が真の対話を重ね、複雑な現実をシステム思考で捉え、未来のビジョンを共有することで、自ら変革、創造し続ける組織が求められる。
・Donald Anderson “Organization Development” The Process of Leading Organizational Change, Sixth Edition
組織変革や組織開発をテーマとした大学の講座で使われるテキストの一つ。英文でも、目次を確認するだけで、どんな内容を扱っているのかを理解できる。
・金井壽宏著『組織変革のビジョン』光文社新書2004年
組織変革に関係する理念や概念を紹介した本。組織変革、組織開発に関するハンディな情報源となる。
スケジュール管理 中間発表と最終報告は、前もって日程を確認のうえ、十分なスケジュール調整を行い、予定通りに参加してください。大規模な自然災害の発生などで急遽日程を変更せざるを得ない場合を除き、延期や再開催はありません。成績評価の面からも、中間発表と最終報告が行われなければ、単位取得はできません。最優先イベントとしてのスケジュール管理が求められます。

次に優先度が高いのは、Stage 1の対面授業とStage 2の月次レビューです。
Stage 1の対面授業の日程は、みなさんと調整のうえ、曜日や時間についてもみなさんの要望をできるだけ尊重して、3時限目終了までに決定し、連絡します。対面授業といっても、私からの講義ではなく、みなさんが行った課題に関しての内容のチェックと話し合いです。みなさんが出席しないことには、授業になりません。

Stage 2のレビューは、個人レビューになります。個別に日程調整をさせていただきます。キャンパスでの対面に加え、SkypeやWeb会議システムの利用なども利用する予定です。どうしても日程の変更が必要となった場合は、2日前までにお知らせください。日程の確保が難しくなったと思われる場合には、2日前に別の日程に調整するようにしましょう。前日ならびに当日、どうしても日程変更を迫られる事態が発生した場合には、できる範囲で調整しますが、キャンセルとすることもあり得ます。

Stage 1の対面授業とStage 2のレビューは、重要イベントです。これらも、しっかりとスケジュール管理してください。

Stage 1の授業ビデオは、公開された週の週末までには視聴するようにしましょう。
対面授業に向けた準備をしっかり行うためには、時間が必要です。

対面授業で提出する資料作成のための作業などをいつ行うのかも、みなさんのタイム・マネジメントにかかっています。前もって素案を作成すれば、疑問が生じたときに、質問し、回答を得て、修正することが可能です。前日作業にかかったのでは、その時間は取れません。

自分の本来の仕事に加え、他の授業の学習など、マルチ・タスクを平行してこなさなければならない中で、しっかりとタイム・マネジメントを行い、スケジュール管理できる能力を磨きましょう。
留意事項 ・年間で4単位となるため、【春・秋】もしくは【秋・春】の履修登録の際には、それぞれ2単位(1科目)として扱います。
・組織開発あるいは変革、新制度導入等のテーマは、受講生自らが実践できるものを選びます。
・テーマの内容によって取り組み期間が中長期に及ぶケースでも、計画準備は受講期間中に実際に行うこととします。
・授業後半は、計画案のブラッシュアップと実行に向けた現場での作業を講師の指導の下で行い、最終報告会で発表していただきます。
事前学修・発展学修 事前学修:必読文献の『ハッキング・デジタル DXの成功法則』に加え、Stage 1の各章で参考書や論文を紹介している参考文献で、みなさんが選ぶ組織変革のテーマやアプローチに関連が深い書籍には目を通してください。
発展学修:Stage 2で組織変革に取組みが開始されますが、授業後も取組みは継続し、変革プランを推進しなければなりません。成果を上げ、変革を成し遂げるために、自ら優れた行動を発揮し、キャリア開発につながるコンピテンシーを伸ばしましょう。
対面授業
対面授業を適宜実施します。詳細は担当教員にご確認ください。