シラバス参照

印刷
講義名 24春 後期/経営理念を活かす創造経営
基準単位数 1
科目区分 企業倫理・経営思想(発展)
必修・選択 選択必修(経営人間学系)
配当年次 1・2年次
学習期間 学習期間1/2学期

担当教員
氏名
◎ 井手 芳美

オフィスアワー eラーニングサイトおよびメールでの質疑応答を受け付けています。
(メールアドレスは大学院グループウェアのアドレス帳でご確認ください)
授業の概要 企業・個⼈を取り巻く環境が⼤きく変化する中で、改めて、企業のあり⽅、個⼈のあり⽅の本質が問われています。
こうした変化の中で企業は、企業理念や存在意義まで⽴ち戻り、持続的企業価値の向上に向け、⼈材戦略を変化させる必要性が求められています。

企業の⽬的とは何か。それは、企業における特有のミッションを果たし社会へ貢献することであると考えます。経営理念は、経営の核⼼の明⽂化に他ならなりません。
経営理念とは、「会社の存在意義、⽬的、価値観、事業遂⾏の⽅向性、⾏動基準を⽰すもの」です。いわば経営の⼟台をなすものです。つまり、「会社としてあるべき姿を明らかにし、明⽂化等を通して社会や⼈々に働き⽣きる知恵と指針を指し⽰す羅針盤」であり、「⽴ち返るべき原点」である、と定義することができます。
経営理念は、⼤きな障害や経営危機に遭遇した時に、原点に⽴ち返る羅針盤となりますが、それだけではありません。むしろ、⽇々仕事に向き合う座標軸となり、反省と啓蒙を促す哲学として活かすことが⼤切です。それによって、⼈的資源の質や求⼼⼒を⾼め、企業のイノベーションや発展を促す触媒となり孵化器にもなるでしょう。
経営資源において最⼤の潜在能⼒を持つのは⼈です。経営理念は、組織の中で多様な⽂化や価値観を有した⼈材を最⼤限活かす価値共有の⼟台となるものです。
まさに、経営理念を軸に、多様な⼈材を活かし、地域社会と共存を図りつつ、創意的な経営戦略や⼈材戦略を図ること、それが、創造経営といえるでしょう。これは、国内の経営にとどまらず、グローバル展開する企業の経営においても⽰唆を与えてくれるものと信じてやみません。

⼀⽅で、働きがいを感じる社員の割合は、世界平均が66%の中で、⽇本は56%であり、これは先進国の中で、最下位であります。なぜ、このような結果となっているのでしょうか。様々な要因はありますが、1つは、⾃らの働きが何に役⽴ち、何のために働いているかが⾒えない、すなわち、⾃⼰実現、⾃⼰成⻑が⾒出せないことにあると考えます。経営者は、⼈材⼀⼈ひとりと向き合い、最⼤限にその⼈材の持つ能⼒を活かしてきたのでしょうか。
⼈間らしい働き⽅、⼈を⽣かす経営のあり⽅が、根底から問われています。

本講義は、経営理念の意義を考えつつ、経営理念を明⽂化、具現化してきた歴史上の経営者のあり⽅、考え⽅(哲学)にフォーカスします。また、⼈材戦略のアプローチから経営者は、どのような姿勢(哲学)で社員⼀⼈ひとりと、どのように向き合うべきかを考察します。考察する上では、コミュニケーションやコーチングの視点も折り込みます。
⾃らが、あるべき経営の視点から創造的に経営を考えることで、⽣き⽅や働き⽅を問い直すきっかけとなり、内省が深まる授業を⽬指します。
学習目標 本講義の⽬標は以下の通りです。
1) 経営理念を定義し、経営理念の意義と必要性を自身の言葉で説明できる。
2) 先駆的な経営者と理念を取り上げ、その特徴を理解したうえで、自身の経営等に活用できる。
3) あるべき経営の視点から、⼈的資源の活⽤にみるコミュニケーションのあり⽅やスキルを捉え直し、コミュニケーションリーダーとして実践できる。
授業計画 第1章 なぜ、いま、経営理念なのか −経営理念と創造経営の視座
社会背景を踏まえ、経営理念の意義、経営理念の定義、創造経営とは何かを明確にします。

第2章 先駆的な経営者と理念 −信⽤重視型経営理念の源流
渋沢栄⼀、森村市左衛⾨、IBM ワトソン⽒に、ジュニア⽗⼦を取り上げ、経営者の哲学と経営理念を⽐較し、経営者のあり⽅を考えます。

第3章 経営理念に⾒るグローバル化とイノベーション
トヨタの経営理念を紐解き、経営理念からみえるグローバル化とイノベーションを考察します。

第4章 歴史上の経営者に学ぶ⼈材戦略 −コミュニケーション&コーチングの視点
渋沢栄⼀、松下幸之助、稲盛和夫、ドラッカーは、どのような哲学で⼈材の⼀⼈ひとりとどう向き合ったのか、コミュニケーション、コーチングの視点で考察します。

第5章 ⼈材を活かす視点とスキル −「⾃⼰実現」の探究から「他者実現」の⽀援へ
「他者実現」(⼗名直喜(2022)『サステナビリティの経営哲学 -渋沢栄⼀に学ぶ-』社会評論社)の視点から、多様な価値を持った⼈材を活かすヒントを⾒出します。コーチングの視点や具体的スキルも解説します。

第6章 問われる経営者のセルフマネジメント
ドラッカーの『経営者の条件』やコーチングの「⾃⼰基盤」から、経営者のセルフマネジメント⼒の重要性と歴史上の経営者はどのようなセルフマネジメント⼒を有していたかを考察します。

第7章 総括
第1 章〜第6 章までを総括し、激動する時代の中で、経営理念を活かし創造経営を実践する組織の事例を考察しつつ、求められるリーダー像を展望します。
受講上の留意点 大学の既定のスケジュール通りに遅延なく受講してください。
成績評価基準 評価基準は、出席率20%、各章の小テスト20%、期末レポート60%とします。
必読書籍 なし
参考書籍 井⼿芳美(2017)『経営理念を活かしたグローバル創造経営 ―現地に根付く⽇系企業の挑戦-』⽔曜社
⼗名直喜(2022)『サステナビリティの経営哲学 ―渋沢栄⼀に学ぶ-』社会評論社
渋沢栄⼀(2010)『論語と算盤』守屋淳訳、筑摩書房
P・F ドラッカー(2006)『経営者の条件』ダイヤモンド社
経済産業省(2022.5)「⼈的資本経営の実現に向けた検討会報告書〜⼈材版伊藤レポート2.0」
※本講義の参考文献は、上記以外にもたくさんあります。講義の中で随時ご紹介いたします。
その他 特にありません。
対面授業
対面授業を実施します。受講申込の際は「対面授業スケジュール」にて日程をご確認ください。