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講義名 24春 後期/ブロックチェーン技術の社会実装(基礎編)
基準単位数 1
科目区分 経営数理・問題解決(応用)
必修・選択 選択
配当年次 1・2年次
学習期間 学習期間1/2学期

担当教員
氏名
◎ 藤本 守

オフィスアワー eラーニングサイトおよびメールでの質疑応答を受け付けています。
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授業の概要 ブロックチェーンは金融サービス領域のみならず、産業分野においても大きな変化をもたらす可能性を持った技術です。ただ、暗号資産やNFTにより注目を集めた技術であることから、それに伴うイメージはポジティブなものネガティブなもの様々で、ブロックチェーンの特徴が正しく理解されていないもしくは一面的な理解に基づく誤った論調も見受けられます。
ブロックチェーンには複数の種類があり、ユースケース毎にどのチェーンを利用するのが良いか、技術的な特徴を踏まえて選択することが必要です。本科目では、ブロックチェーンの社会実装にあたり理解しておくべき基本的な事項を解説します。
学習目標 本講義を通じて、ブロックチェーンはどのような技術要素から成り立っているのか、それら技術要素の組み合わせによりブロックチェーンにはどのような種類が存在するのか、技術の選択によるトレードオフ(ブロックチェーン実装の特徴)とは何か、を理解することを通じ、ブロックチェーンの特徴を活かした社会実装を考える基本的な知識を身に着けた上で、自らが関与する業務もしくは事業への適用可能領域を見つけ実現に向けた提案が出来るようになることを目指します。
授業計画 第1章 ブロックチェーンが生まれた背景(イントロダクションとして)
ブロックチェーン技術は新たに生み出された技術というよりも、既に確立されている様々な技術を組み合わせて生み出された技術と言えます。その組み合わせが革新的であったという事を疑う余地はないのですが、ブロックチェーンを支える技術要素の進展なしにはブロックチェーンが社会実装に至ることはなかったでしょう。本章では、ブロックチェーンを成立させた基本的な技術要素は何かをイントロダクションとして解説します。
第2章 ブロックチェーン技術は従来型システムのどのような課題を解決するのか
ブロックチェーン技術が注目されているのは、従来の情報処理システムの課題を解決する能力を秘めているからに他なりません。ブロックチェーンは「分散台帳」もしくは「分散型台帳」とも言われますが、これは従来の情報処理システムが主に「集中型」であったことの対比として用いられる表現です。本章では、「分散台帳」が従来の情報システムのどのような課題を解決しようとしているのかを解説します。
第3章 ブロックチェーンが分散型であることに起因する課題とその解決方法
複数のコンピュータが協調しながら統一的な答えを導き出す仕組みは「集中型」のシステムでも取り入れられていますが、ブロックチェーンはお互いを信頼しないモノ同士が協調して1つの答えを同意する仕組みである点が「集中型」とは根本的に違う点です。本章では、信頼しないモノ同士がどのように統一的(と考えられる)答えを導き出すことが出来るのか、その難しさはどこにあるのかを解説します。
第4章 ブロックチェーンの利用が更に広がるための課題とその解決方法
ブロックチェーンの元祖であるBitcoinの課題として良くとりあげられるスケーラビリティやパフォーマンスの課題、またウォレットセキュリティに関する課題など、ブロックチェーンが社会で広く使われるためには解決しなければならない課題があります。本章では、ブロックチェーンを様々な用途で安心して使えるようにするための取り組みについて解説します。
第5章 法律から見たブロックチェーン
ブロックチェーンは暗号資産としての社会実装が先行し、実態を追いかける形で法制度の整備が進められている珍しい領域と言えます。本章では、ブロックチェーン技術を社会実装するうえで生じている様々な課題とそれに呼応して進められている法制度整備の状況について解説します。
第6章 デジタル社会におけるブロックチェーン技術活用の方向性
Satoshi Nakamotoのアイディアを出発点として自然発生的にコミュニティーが形成され進化を遂げてきたブロックチェーン技術が社会のデジタル化にどのような影響をもたらすと考えられるのか、Web3やトークンエコノミーの実現に必要不可欠と言われているのは何故か、本章では、ブロックチェーン技術の社会実装の方向性について私見を交えて解説します。
第7章 (対面授業)ブロックチェーン技術に対する理解を深める(誤解を解く)ための質疑
これまでに、ブロックチェーンの基本的な技術要素の説明、ブロックチェーンが本質的に持つ課題とその解決方法、また解決方法に応じて複数種類のブロックチェーンもしくは分散台帳が存在することを説明してきました。また、社会実装にあたり考慮すべき法制度と、ブロックチェーン技術の活用の方向性について解説しました。最終章では、これまでの内容を振りかえり、補足説明を加えながら受講者と質疑をすることを通じてブロックチェーン技術への理解を深めます。
受講上の留意点 大学の既定のスケジュール通りに遅延なく受講してください。
成績評価基準 ・出席率 :20%
・小テスト :30%
・期末課題 :50%
必読書籍 以下のいずれか1冊もしくは(技術をより詳しく知りたい方は)参考書籍にあげたいずれか1冊。
・Daniel Drescher「徹底理解ブロックチェーン」(インプレス)2018年
・杉井靖典「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」(インプレス)2018年
参考書籍 ブロックチェーン技術の解説書として参考になる書籍です。
・山崎重一郎他「ブロックチェーン技術概論 理論と実践」(講談社)2022年
・赤羽喜治他「ブロックチェーン仕組みと理論(増補改訂版)」(リックテレコム)2019年
・嶋田康史他「分散型台帳テクノロジー」(朝倉書店)2020年
その他 本講義はブロックチェーン技術を掘り下げることを目的としていないため、コンピュータサイエンスの知識が無い方でも受講頂くことが出来ます。但し、ブロックチェーンについての前提知識があまり無い方は、“必読書籍”にあげたブロックチェーンの解説書いずれか1冊を読み、ブロックチェーン関連の基本的な用語を理解した上で受講して下さい。
技術の詳細および実践に興味がある方は“参考書籍”に掲載した技術解説書を読むことをお勧めします。なお、既にそれら書籍の内容を良く理解されている方には、本講義は基本的な内容の解説となるため復習になることをご了承下さい。
対面授業
対面授業を実施します。受講申込の際は「対面授業スケジュール」にて日程をご確認ください。