SBI大学院大学
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シラバス参照
講義名
24秋 前期/為替政策と為替市場
基準単位数
1
科目区分
金融・財務(応用)
必修・選択
選択
配当年次
1・2年次
学修期間
学修期間1/2学期
担当教員
氏名
◎ 山﨑 達雄
オフィスアワー
eラーニングサイトおよびメールでの質疑応答を受け付けています。
(メールアドレスは大学院グループウェアのアドレス帳でご確認ください)
受講者の過半から、講義とは別に対面ミーティングの希望が出た場合、希望者の日程が調整できれば対応いたします。
授業の概要
為替の基礎知識を学んだ上で、為替介入の実態、外貨準備の運用、円の国際化、人民元、アジア共通通貨とユーロ・デジタル通貨といったテーマにつき研究を深める。
学修目標
為替相場は金融、経済だけでなく、政治、外交、安全保障、文化、心理そのほか世の中の森羅万象を反映して決まると言われます。受講生が経営や投資を行う上で、あるいは旅行や留学、海外赴任のために両替や外貨預金を行うとき、為替とは少なからず関わりを持つことになります。その時に、ただ、為替アナリストの予想を鵜呑みにして行動するのでなく、自分自身で為替を動かす様々な要因について考える癖をつけると、単に為替の予想にとどまらず、世の中の動きを客観的にとらえ、次の行動をとるうえで、正しい判断ができるようになります。そして、為替アナリストのうち、どの見解が信頼できるかわかるようになります。
そこで、為替政策とは何か、ドル基軸通貨時代は終わるのか、為替動向は何を見ればどこまで予想できるのかといった為替に関する永遠の課題について、理論や歴史から、政策の実践に至るまで、広範囲に取り上げ、理解を深めます。長年にわたって為替政策に携わり、為替課長として35兆円の巨額為替介入を実施、国際局長として1兆ドルの外貨準備の運用を実施、そして財務官として世界の通貨マフィアと渡り合った講師が、理論的、実践的、そして政治的な側面も含めて総合的に解き明かすことによって、為替問題の深さ、複雑さを理解するとともに、同時に、この問題を扱うときのぶれない物差しを受講者が自ら形成することを目指します。
授業計画(各章)
第1回
タイトル
第1章 為替の基礎知識 前編
内容
為替制度の種類、それぞれの特色、為替の決定理論について学び、実際為替当局者がどのような理論に基づいて為替を議論しているのか学びます。
第2回
タイトル
第2章 為替の基礎知識 後編
内容
国際通貨体制の変遷、プラザ合意と日本経済への影響、その後の為替に関する主なイベント、為替の予測に有用なネットポジションについて学びます。
第3回
タイトル
第3章 為替介入の実態
内容
為替介入の仕組み、為替介入の正当性について学び、非不胎化介入、日銀による外債購入などの高次元の問題についても解説します。
第4回
タイトル
第4章 外貨準備の運用・外国為替特別会計
内容
為替介入の結果として獲得した外貨を管理する外国為替特別会計について学び、外貨準備の運用の仕組みとルールについて解説します。
第5回
タイトル
第5章 円の国際化
内容
円の国際化政策の経緯とその目的の変遷について学びます。
そして、現在、円を含めたアジア通貨を日本とアジアの成長戦略に活かすためにどのような取り組みが行われているか解説します。
第6回
タイトル
第6章 人民元
内容
中国の為替制度の変遷、人民元政策の変化が市場に与えたインパクト、人民元の国際化政策、円と元の直接取引、AIIB、一帯一路構想などについて学びます。
第7回
タイトル
第7章 ユーロ・アジア共通通貨・デジタル通貨
内容
共通通貨ユーロ誕生の経緯を学んだうえで、アジアに共通通貨を作ることは可能か、その準備段階として行った試みなどについて学びます。また、デジタル通貨(中央銀行デジタル通貨、ステーブルコイン、暗号資産)をめぐる最新の動きと本質について学びます。
受講上の留意点
大学の既定のスケジュール通りに遅延なく受講してください。
なお、講義本体とは別に、公開講座として「為替政策と為替市場為替を巡る内外情勢の動向」を開催いたします。出欠の対象ではありませんが、為替を取り巻く現下の環境(・足元の世界情勢、特に、インフレとの闘い、ウクライナ情勢、中国経済の成長率鈍化などが世界をどのように変容させるのか・経済、政治、安全保障情勢などは今後どのように変化していくのか)について解説する予定で、期末の論文問題のヒントにもなりますので、本講義を受講する方は是非受講してください。
成績評価基準
章末の選択式課題と期末の論文問題の配点比は40:60とします。なお、論文は指示した長さの範囲内で簡潔に記述してください。
必読書籍
特にありません。
参考書籍
神田眞人編 図説国際金融 財経詳報社 2015
尾河眞樹著 本当にわかる為替相場 日本実業出版社 2017
宮崎成人著 教養としての金融危機 講談社現代新書 2022
宮崎成人著 強い通貨、弱い通貨 ハヤカワ新書 2024
下記URL(独立行政法人経済産業研究所ホームページ)からダウンロードして参照してください。
・https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/19j056.pdf
「21世紀日本を巡る国際金融環境の変化 ―為替政策と国際金融協調― 井戸 清人 国際経済研究所」
下記URLからダウンロードして参照してください。
・https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/research/chairman/pdf/tn_c210811.pdf
「ニクソン・ショック 50周年 −国際通貨体制の未来− 前編 みずほリサーチ&テクノロジーズ 理事長 中尾武彦」(2021年8月11日)
・https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/research/chairman/pdf/tn_c210813.pdf
「ニクソン・ショック 50周年 −国際通貨体制の未来− 後編 みずほリサーチ&テクノロジーズ 理事長 中尾武彦」(2021年8月13日)
下記URL(財務省ホームページ)からダウンロードして参照してください。
・https://www.mof.go.jp/pri/publication/research_paper_staff_report/research09.pdf
「財務総研リサーチ・ペーパー IMF による経常収支の為替レートに対する弾力性の推定方法について」(2021年9月21日)
その他
為替は経済、政治、国際動向など森羅万象が影響し関係します。日経新聞に出てくる程度の用語の意味、基礎概念は既知のものとして講義を進めます。
事前学修・発展学修
事前学修:新聞やネットなどで、為替に関する最近の記事や基本的知識などにできるだけ接してから受講することをお薦めします。
発展学修:新聞、雑誌、ネットなどで為替のアナリストの予想をチェックして、数か月後、それが当たっていたがどうか、その理由は何かを検証してみると、より為替について理解が深くなるでしょう。そのうえで、自分で為替の予想、その理由を書き留めて、数か月後に答え合わせをするとよいでしょう。
対面授業
対面授業は実施しません。