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講義名 24春 後期/歴史に学ぶ戦略論(孫子の兵法を現代に役立てる方法)
基準単位数 1
科目区分 戦略・マーケティング(発展)
必修・選択 選択必修(経営人間学系)
配当年次 1・2年次
学習期間 学習期間1/2学期

担当教員
氏名
◎ 福田 晃市

オフィスアワー eラーニングサイトおよびメールでの質疑応答を受け付けています。
(メールアドレスは大学院グループウェアのアドレス帳でご確認ください)
授業の概要 中国兵法の代名詞とも言える「孫子の兵法」ですが、それには春秋時代の「孫武の兵法」と、戦国時代の「孫臏(そんぴん)の兵法」の2種類があります。
一般的に「孫子の兵法」と言えば、『孫子』(孫武の兵法)だけが取り上げられがちですが、この授業では孫武と孫臏の両方の兵法を取り上げます。
基本的な流れとしてましては、まず「孫子の兵法」の概要を理解した上で、「その教えを今(生活や組織戦略)に活かすためには、どのような考え方をすればよいか」につきまして、その一例を紹介しつつ、「孫子の兵法」を今に活用できる力を養っていく事を目指します。
学習目標 どのようにすれば、「孫子の兵法」の教えを普段の生活に役立てられるようになるのでしょうか。その解答を見つけてもらうことによって、「孫子の兵法」を普段の生活に活用できるようになります。
授業計画 期間は4半期で、1単位の授業です。全7章で構成されています。

第1章では、『孫子』のうち、始計、作戦、謀攻について、ご紹介します。
始計篇のポイントは、まず五事七計で勝算をはかり、14の策略によって勝算を高めることが大切です。
作戦篇のポイントは、戦争をすると多くの損失を出すことを自覚し、さらに節約する工夫をしていくことが大切です。
謀攻篇のポイントは、戦わないで勝てるようにすることが一番だが、戦うときには効率的に戦うようにすることが大切です。
特に謀攻については、「どのようにすれば損失を少なくできるだろうかを自問自答して、答えを見つけることによって、謀攻ができるようになる」ことを覚えておいていただけるとよいかもしれません。
なぜかと言いますと、『孫子』には、謀攻の定義として、上記のようなことを記しているからです。言いかえますと、謀攻については、この考え方を書くだけで、具体的な方法は教えてくれていません。
おそらく、戦いを指揮する者が、現場でこの方針にのっとり、その場その時に最適な計画を立てろ、と言いたいのでしょう。

第2章では、『孫子』のうち、軍形、兵勢、虚実について、ご紹介します。
各篇のポイントを紹介しますと、軍形篇は、まず実力をたくわえることが大切です。
兵勢篇は、蓄えた力をタイミングよく一気に出すことで、さらに勢いづくようにすることが大切です。
虚実篇は、こちらの充実した力で相手に弱点をつくことが大切です。
だいたい以上のような感じですが、この骨子に肉付けをしていけば、孫子の兵法も身につけやすくなるかもしれません。

第3章では、軍争、九変、行軍について、ご紹介します。
ポイントですが、軍争篇は「上手に駆け引きして優位に立つ」というものです。
九変篇は「臨機応変」について述べています。
行軍篇は「原理原則」について述べています。
戦いに勝つためには非常識な手段(九変篇)と常識的な手段(行軍篇)の2つが必要です。
なお軍争のところですが、「まとめノート」で言う「3つのポイント」「戦い方のポイント」「勝利の秘訣」「4つの工夫」の4つに焦点をしぼると、うまくまとめることができます。

第4章で、地形、九地、火攻、用間について、ご紹介します。
地形と九地のところでは、いずれも地理をあつかっています。はじめて学ぶ方は、もしかすると違いが分からないかもしれません。
今で言うなら「地形=自然地理・地形について」「九地=人文地理・地勢について」となります。
地形によって、軍隊の不利と有利が違ってきます。たとえば、高い山の上にいれば、有利になります。これが自然地理的な考え方です。
しかし、同じ高い山でも、敵のいないところなら、高い山に陣取っても、別に有利でもなんでもありません。それが有利になるか、不利になるかは、すべて人の動き次第です。これが自然地理的な考え方です。
そこで、たとえば、大海を背にした場所ですが、「地形」の観点からすれば、逃げ場がないので不利な地形となります。しかし、そこに陣取って戦うなら、兵士は生き残るためには正面の敵に勝つしかないので、必死に戦うようになり、結果として有利となります。これが人文地理的な考え方です。
なお、ポイントですが、地形篇は、「6つの地形」「6つの敗因」「すぐれた将軍のリーダーシップ」の3つがポイントになります。
また、九地篇は、孫子にあるように、「地勢の特性」「行動の時機」「人間の心理」の3つのポイントにしぼると、さらに整理しやすくなるかもしれません。
火攻は、文字通り「火攻め」の方法について書かれています。火攻めは今でいうなら大量破壊兵器です。ふだんの生活で大量破壊兵器を使っては大変です。犯罪になりかねません。
しかし、イマジネーションを働かせて考えてみると、合法的に使用可能なものだとわかると思います。ぜひイマジネーションを広げて、自分なりに活用してみてください。
用間は、基本は「情報収集=リサーチ」と「情報操作=PR」にあります。とくに情報操作の威力については、『戦争広告代理店』という本を読むと、よく分かるかもしれません。

第5章からは、『孫臏兵法』(『孫ひん兵法』とも言う)の紹介です。
もともと『孫臏兵法』は、1972年に漢代の墓から発掘されるまで存在していませんでした。しかも、発掘の際にバラバラになってしまっているので、断片的です。
各篇の話には「まとまり」があっても、全体の流れには「まとまり」がありません。各篇読み切りといった感覚で認識していただけるとよいかもしれません。
第5章から、第7章までは、全31篇の『孫臏兵法』を全3回に分けて紹介しているわけですが、「まとめノート」で図解するなどして、雑多な全体像を少しでも理解しやすく紹介しています。
それらをご覧いただけますと効率的に学べると思います。
受講上の留意点 大学の既定のスケジュール通りに遅延なく受講してください。
成績評価基準 ・出席率:15%
・ディスカッション参加:15%
・提出物(小テスト):30%
・最終課題:40%
必読書籍 特にありません。(必要に応じて「お知らせ」いたします。)
参考書籍 受講生の負担軽減の観点から、必要な資料は配布する形にしています。参考資料等がありましたら、随時ご案内いたします。さらに学びを深化させたい方は、各資料に記載されている参考文献を見ていただけるとよいかもしれません。
その他 必要な事項があれば、随時、お知らせいたします。
なお、本講座では、中国兵法を身に着けることを目指しており、現代ビジネス事例よりも兵法の教えを優先しておりますので、あらかじめご了承ください。
また、各章終了後のテストでは、大学院では自主的な学びが求められるため、授業の関連事項について自分で調べて回答する問題も出る場合もあります。出題されてもわずかな量になりますが、「授業で聞いていないので分からない」というようなことがないようにお願いします。
その他として、最終課題におきましては、生成AIによる回答や、サイトの記事、参考文献などの文章をそのままコピペすることはしないようにしてください。「盗用」となる恐れがあります。「引用」のルールを遵守されてください。また、出典は必ず明記してください。
対面授業
対面授業は実施しません。